SSブログ

フィレンツェの最後の晩餐 その4 [1500年代 Cinquecento]





Il Cenacolo di Santa Maria del Carmine (1582)

Alessandro Allori(1535-1607)




作者はアレッサンドロ・アッローリ。

16世紀後半、メディチ家の宮廷画家として活躍。

ミケランジェロの影響を強く受けています。

この壁画もなかなかの力作。

もし「ミケランジェロが『最後の晩餐』を描いていれば」かくや…と思わせるものがあります。

アレッサンドロ自身もそんな思いで描いたのかも知れません。

 







壁画の左側。







こちらは右側。右端はユダ。









この「最後の晩餐」があるのはサンタ・マリア・デル・カルミネ教会。




「二つ頭って?」の記事↓

http://blog.so-net.ne.jp/firenze/2006-05-24-1




…でとりあげたマザッチョ、マゾリーノ、フィリッピーノ・リッピの

共同制作の傑作壁画「聖ペテロ伝」がある教会です。

その記事で「次回はマザッチョ、マゾリーノ、そしてフィリッピーノ・リッピ、それぞれの時代と作風の違いについてみていきます」と書いておきながら、すっかり続きを書くのを忘れていました。反省。




ところで「最後の晩餐」は、「聖ペテロ伝」があるブランカッチ礼拝堂の隣の部屋に描かれています。






教会の中庭。右奥がブランカッチ礼拝堂への入り口。






その部屋に展示してある「シノピア」と呼ばれる下絵。

修復のため剥がされた壁画の下から現れたもの。






中庭に戻り「最後の晩餐」のある部屋に向います。






ここが入り口。「最後の晩餐の部屋」そして「マルチメディア室」?!  




この部屋は「聖ペテロ伝」のDVDの鑑賞に利用されています。

とても良くできたDVD。

でも「最後の晩餐」のためには暗すぎます。

教会の目玉にしてルネサンス最高傑作の一つ「聖ペテロ伝」が優遇されるのは当然ですが、アレッサンドロには少し酷な仕打ちです。






DVDの準備のために照明が点いていた時に撮った写真です。

上にぶらさがっているのがプロジェクター。





アレッサンドロの代表作はアカデミア美術館の「受胎告知」、サンタ・クローチェ教会の「十字架降架」など。

サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会にも壁画がありますが、こちらは現在修復中。

またサント・スピリト教会にもパネルに描かれた画が2点あります。




Chiesa di Santa Maria del Carmine

P.zza del Carmine

Tel. 055/ 2382195

平日: 10-17

休日: 13-17

火曜休館

インフォメーションと予約( 9.00-13と 14.00-19.00)

Tel. 055/ 276.8224

Tel. 055/ 276.8558

写真/ビデオ撮影可(フラッシュ/照明不可)



Chiesa di Santa Maria del Carmine


この記事は旧カテゴリー【フレスコ画の世界】から新カテゴリー【1500年代/ Cinquecento】に移動しました。



美術ブログ 美術鑑賞・評論


「トスカーナからミルクの贈りもの」

メイコ イワモト著 集英社刊 定価:1,680円(税込) 好評発売中!

内容のご紹介&ご購入は☟

http://dpm.s-woman.net/s-woman/toscana/

 


nice!(0)  コメント(21)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 21

neko

絵がいいですね。
修復も大変そう。
by neko (2007-02-09 13:19) 

にこちゃん

オモシロイですね~
ユダの位置って、結構気になるんですよ。
これは端っこなんですね。
ユダの位置で、描いた人の捉え方がわかるように思えます。
by にこちゃん (2007-02-09 16:10) 

SOLE

筋肉質の感じの絵が確かにミケランジェロの絵に影響を受けてるんだぁ~と素人目にも分かりますねぇ。
by SOLE (2007-02-09 17:31) 

TaekoLovesParis

足を描き忘れた「聖ペテロ伝」の壁画、壮大なホンモノをぜひ、見たいと
思っていますが、アレッサンドロの「最後の晩餐」はその隣の建物なの
ですね。いっしょに見れそう。こうやってplotさんのブログで予習しているので、ほんものを見るときは感動するだろうな、と思っています。
by TaekoLovesParis (2007-02-10 01:00) 

ぱふ

なるほど~ こうやってお勉強しておくと、絵を見る喜びが
増しますよね。φ(.. )
この教会には行ったことがありません。入り口まで行きながら
気後れして入れなかった…
両端にちゃっかり、パトロンでしょうか、肖像画があったりするのが
ルネッサンスの画家らしく人間くさい感じです。
by ぱふ (2007-02-10 02:54) 

とらion

plotさん おはようございます。
最後の晩餐もこんなにたくさんあるんですか?
全く知りませんでした。
知らないと言うことは怖いですね。

Taekoさんみたいに現物見る機会は考えられませんが?!
最後の晩餐一度描いてみたい衝動に駆られてきました。
by とらion (2007-02-10 06:41) 

plot

nekoさん、この壁画、修復を受けているのですが現状はあまり芳しくありません。
3枚目のユダのいる写真、左から2番目の赤いコスチュームの人物の右腕が上下に走る垂直の線で分断されているのに気がつきましたか?(ちょっと分かり難いですがテーブルの下に猫がうずくまっています)この線はパネルのつなぎ目です。最初の写真を良く見ると全体で3枚のパネルに分割されているのが分かります。この壁画は修復のために壁から剥がされパネルに貼り付けられ、元の場所に戻されているのです。
この修復方法は問題が多く現在ではできるだけ避けられています。1966年の大洪水では多数の壁画が被害を受けて、この少々乱暴な修復を施されました。この修復もその時期だったのかも知れません。
by plot (2007-02-10 07:51) 

plot

にこちゃん、画家が一番頭をつかうのは「ユダをどう扱うか」でしょうね。
この部屋は向って右側の壁に窓が開いていますから、壁画も実際の自然光の方向に合わせて描かれています。
左端の人物(黄色いコスチュームの初老の人物=ペテロ?)は正面から光を受け、ユダは逆光の位置に置かれています。明快かつ、素直な配置ですね。
by plot (2007-02-10 08:00) 

plot

SOLEさん、アレッサンドロ先生、ローマでミケランジェロに出会い、その圧倒的な魅力の虜になって、ミケランジェロがシスティーナの壁画「最後の審判」につかった下絵を、フィレンツェに持ち帰っています。その下絵をそのままサンティッシマ・アンヌンツィアータの自分の壁画に使う許可も得ていたそうです。
by plot (2007-02-10 08:11) 

plot

Taekoさん、正確には同じ建物の、ブランカッチ礼拝堂の入口の部屋の隣の部屋です。僕もブランカッチ礼拝堂は何回となく訪れているのですが、この部屋の存在に最近まで気がつきませんでした。
この部屋では一日に何回か「聖ペテロ伝」壁画のDVDを上映しています。とても良くできたDVDなので買いたいと思ったほどですが、残念ながら市販はしていないそうです。
それはともかく是非上映時間の少し前に部屋に入ってください。
係の人が準備のため部屋の明かりをつける時が唯一、この壁画を鑑賞できるチャンスですから。
by plot (2007-02-10 08:24) 

plot

ぱふさん、両端の肖像画に気づいてくれて嬉しいです。
これも未確認ですがどちらも衣装から判断すると僧籍(っていうのかな?)の人物のようですね。最後の晩餐が描かれるのは食堂ですから(礼拝堂ではなく)、民間のスポンサーではなくこの教会の重要人物かも知れませんね。
by plot (2007-02-10 08:30) 

plot

tigerkitaさん、そんなこと言わないで、僕がいる間(いつまでいられるか分かりませんが)にフィレンツェにいらしてください。「最後の晩餐」巡り、ご一緒しましょう。
kitaさんの「最後の晩餐」も是非、見てみたいです。
by plot (2007-02-10 08:35) 

toraneko-tora

最後のk晩餐の絵は、本の写真でしか見たことはありませんが・・・・額縁に入った絵で見るよりは、こんなフレスコ画の方が、直に雰囲気を感じられるのでは・・・・そんな気がします
この教会の中庭も、中世の教会、聖堂に見られるもので、なにかゆとりとか、落ち着きを取り戻させるような・・・・・・
by toraneko-tora (2007-02-10 08:41) 

mompeli

普段は薄暗がりの中でしか 見れないのですね
うーん やっぱり実物が見てみたいです
by mompeli (2007-02-10 20:57) 

りんりん

こちらも綺麗な‘‘最後の晩餐‘‘ですね。
是非、実物を見たいものです。
DVDルームも完備されているのですね。
素晴らしい♪
とことん、勉強できそう^^。
by りんりん (2007-02-11 00:28) 

chi-ran

なんだか仕草とか、手足の感じが自然というか~いまにも動き出しそうで
またひと味違う 最後の晩餐を楽しめました♪ いつもありがとうございます^^
by chi-ran (2007-02-11 18:40) 

manbou

はじめてお邪魔します。
こんなに素敵なブログ、もっと早くから読ませていただけばよかったと後悔です。
フレスコ画の世界に、しばし浸らせて頂きます。。。
by manbou (2007-02-12 15:30) 

鈴木浩司

なんか最近時間に追われて、美術館などで静かな時間を過ごす事から
遠ざかってます。
洋一さんのイタリアからのブログを、ワイン飲みながら読んでるこの時間に
癒されてます。
以前、ピカソのゲルニカじゃないけど、不眠不休で縦3メートル横4・5メートルの布(キャンパス)(笑)にゴールキーパーの川口良活がゴールポストに左手をそえて前かがみになり、右手でデイフェンダーを指差して叫んでいる上半身を書いた事があります。
最初は普通に色を乗せて肌やユニホームの色もしっかりと書こうとしていたのですが、進むにつれて最初に思い描いていたデザインとは大幅に異なり、東急ハンズでラメを買ってきて色をだしたりバックが白と青の縦じまになったり、そして表情を描けない事に気が付き、とうとう川口は黒塗りになって、結果ユニホームの模様だけが色として残るシルエットになってしまいました。最後はマレーシアで現地の子供に盗まれてしまったんですけど。。
僕の力作だったのに・・・。。
それでも今思い出すと、その時間は本当に夢中になれて少しずつ出来上がる喜びを覚えていき、完成した時の達成感は何とも言えませんでした。
そして最近、小さな紙切れでもいいから少し絵を書いてみたい気がします。
by 鈴木浩司 (2007-02-13 02:11) 

シェリー

こんにちは~今回の最後の晩餐も衣装の色がカラフルで
賑やかな感じがしました。
下絵というのはそんな風になっているんですね。
壁に彫られてるようにも見えますが・・・違うのかな?
この絵の部屋がDVD鑑賞室になってしまうほどの
「聖ペテロ伝」も是非拝見してみたくなりました☆
by シェリー (2007-02-16 13:05) 

ツカ

今回の最後の晩餐は、ユダが比較的綺麗な衣装を着ていますね~!
でもやっぱ影がある。
今回の晩餐は、色彩がキレイだな~って感じました♪^^
by ツカ (2007-02-18 22:13) 

plot

toraneko-toraさん、
美術館の作品との大きな違いは画家が実際に描いたその場で鑑賞できるという事ですね。
教会の中庭は美しいものが多いですね。

momoiropelicanさん、
薄暗がりというより真っ暗に近いです。ミュージアムショップにいる係の人が暇なら頼べば照明を付けてくれると思いますが。壁画は現地で見るしかありませんから是非、こちらにいらして本物にふれてください。

りんりんさん、
そう、「聖ペテロ伝」のDVDはなかなか良いですよ。日本語が無いのが惜しいけど(イタリア語、英語など)、細かいところ分からなくても楽しめます。

ちえさん、
仕草の表現、おっしゃるように自然な印象でした。ミケランジェロに習ってややオーバー気味ではありますが、師匠よりは控えめなのが幸いしてると思います。
こちらこそ、いつも素敵なblogをありがとうです。

manbouさん、
こんにちは。いろいろな方面に興味が分散気味のblogになってますが、お付き合い頂ければ嬉しいです。

鈴木浩司さん、
盗まれてしまったのは残念でしたが、大きな絵を描くのは気持ちいいですね。

これは僕が描いた一番大きな壁画です↓
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Firenze/oshima.html
3週間、雨や強風で描けなかった日を除くと14日間で一気に描きました。今描いている絵よりずっと短期間。

シェリーさん、
マザッチョ、マゾリーノ、フィリッピーノ・リッピの「聖ペテロ伝」はルネサンス最高傑作の一つです。
ウッフィツィ美術館の全作品にも匹敵する貴重な壁画だと思います。行列が出来ないのが不思議なくらい。是非、観てください。

ツカさん、
そのとおり、ユダの衣装の色彩はとても美しかったです。この壁画もちゃんと鑑賞できるようにして欲しいものです。
by plot (2007-02-19 00:22) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。