カフェ・ロトンダ10 [アトリエから]
9からだいぶ時間がたってしまいました。
カフェの人物を描き始めたところ。チビスケは歩道に立たせることにします。
こうして小さな画面で見ると、チビスケの小さすぎるのが判明。要修正です。
建物の影をはっきりさせました。さらにコントラストを強めていく予定。
道路と海の間にあった曖昧な部分は消去して海を近づけます。
右側の敷石道路を拡張工事、停車している車を描きたいのですがスペースが不足していたので。
左の道路にも自動車を2台描き込む予定ですが、時代設定でまだ迷っています。
船に合わせると第2次大戦前になりますが、もう少し後、50年代の車のほうが自分のイメージにはしっくりきます。
空や建物に固有色をのせていきます。
「くすみ」や「色あせ」「汚れ」を加えてリアリティを強めていきたいのですが、生の色の鮮度も残したいところ。
構成の基本は整数比による分割。上のキャンバスは120cm×180cm(2:3)、下は90cm×180cm(1:2)。
合体すると全体で210cm×180cm(7:6)。2つのキャンバスの境界線は、4:3の分割線。
画面に重ねた補助線は縦、横それぞれの3等分線。これに対角線を加えたものが基本。画面下の方に引いた細い水平線は180cm×180cmの正方形を上からとった場合の下辺。
【構図についての自分のためメモ】
分割線を頼りに構図を決めている訳ではない。それでは自然な構図感覚が活かされないから。
キャンバス上で即興的に構図を決定したあとで、等分線と対角線を基本とした補助線を重ねてみる。
簡潔な整数比の構成に近づけるために、補助線に沿うように構図を修正する場合もある。
例えば、直感的に引いた線の位置が補助線とわずかな差だったら、補助線に合わせるというように。
この絵ではまだ補助線による修正は加えていない。
感覚的に決めた構図と、後から重ねた補助線が良く一致しているのでその必要が無いから。
簡潔な構成を目指す以上、補助線は少なくシンプルに。
複雑に分割を繰り返していけば分割線、対角線が無数に引けるから、どこかで一致するのは当たり前。それでは何を確認しているのかわからない。
【構図の考え方】
簡潔な整数比を追求するのは、それが絵画に静的な秩序と明快なリズム感を与えると信じるからですが、絵の中に一種のなぞ解きを潜ませておく楽しみもあります。
それはジョルジュ・スーラ(Georges Seurat1859-1891) の「グランドジャット島の日曜日の午後」から学んだことです。
完璧な静的秩序と音楽的リズムの秘密を探ろうと、複製画に定規やコンパスを当て黄金比を探しても「これは」という解答は得られません。黄金比に複雑な操作を加えないと実際の構図と一致しないのです。
「黄金比に依る分割」という当然と思えた前提条件の根拠が希薄だったということです。
「グランドジャット島の日曜日の午後」の画面全体の縦:横比は2:3。
黄金比を捨て、スーラが使ったのは整数比であると仮定して単純な数値を当てはめると、構図との正確な一致が次々に発見できます。
犬が飛びつこうとしている小さな白い蝶や紳士の小脇に抱えたステッキの方向にもヒントが隠されています。
「グランドジャット島の日曜日の午後」の構図の解析は機会を改めて。
整数比にこだわるのは黄金比を否定しているからではありません。
簡潔な整数比から黄金比が導き出される過程(フィボナッチ数列・リュカ数列※)を画面上で再現することができれば、究極の黄金比で始めるよりエレガントだと思うのですが。
※
フィボナッチFibonacci(=Leonardo filio Bonacij Pisano 1170-1250)、イタリアの数学者。フィボナッチ数列は第1項と第2項を1、以下はその前の2項の和とする。つまり1,1の次は1+1=2、その次は1+2=3、2+3=5…と続きます。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233…
この数列のある項とその前の項の比は、先に進むほど黄金比、φ=(1+√5)/2
=1. 6180339887498948…に近づいていきます。
例えば89/55=1.61818…、233/144=1.6180555…。
他にリュカ数列(リュカ =Edouard Lucas1842-1891=は「フィボナッチ数列」の命名者で「ハノイの塔」で知られるフランスの数学者)、第1項を1、第2項を3として同様に続ける数列。
1,3,4,7,11,18,29,47,76,123,199…
トリボナッチ(Tribonacci)数列
1,1,1,3,5,9,17…
などが黄金比と関係していますが詳細は省略。フィボナッチ数列・リュカ数列と黄金比の関係についての解説はweb上でたくさん見つかります。
Wikipediaの黄金比
http://ja.wikipedia.org/wiki/黄金比 など。
今更ながら、ダヴィンチ・コードを読んでは待ってます。
黄金比・・・すご過ぎです。。
by 鈴木浩司 (2006-04-30 08:31)
こんなややこしい記事まで読んで頂いて恐縮です。
ダヴィンチ・コード、つい解説本まで買ってしまいました。
いよいよ映画も封切りのようですね。一昨日こちらのTVでも特集番組を組んで、ヴァティカンの聖職者達にもインタビューを試みていましたが、さすがに冷たい反応でした。
by plot (2006-04-30 22:13)